酒仕込みの真っ最中!憧れの【てんびん絞り】を見学!

全国的にもごくわずか!全量天秤絞り!不老泉を醸す滋賀県の【上原酒造】へ訪問!

 

12月の上旬、大将が「包丁研ぎの特訓に行ってくる!」と急に言い出したのです。

しかも三重県松阪まで。

12月に連休かぁ…松阪でやる事ないだろうしなぁ。。

「あっ。」滋賀の小川酒店の明美さんにお願いしてみよう!不老泉の蔵見学!

という事で、私は蔵見学へ。

それでは今回のblogは、私女将と一緒に酒どころ滋賀県の日本酒旅へご案内!

 

もくじ

 

 

滋賀県ってこんなトコ。

 

日本最大の湖、琵琶湖を有する滋賀県。

県面積の1/6が琵琶湖です。

 

※マピオンより

 

京都駅から電車で10分、京文化とも密接な立地です。

比叡山と聞くと、京都のイメージが強い方もいらっしゃると思いますが、比叡山は京都と滋賀の県境にあります。

滋賀県側からも上がれるし、京都側からも上がれます。

ほか、三井寺や石山寺を始め、歴史あるお寺も沢山ありますね。

 

食にも独特な文化があります。

〝フナズシ〟を代表とする発酵文化。

海無し県なので、魚は琵琶湖の湖魚(鮒やビワ鱒、モロコや鰻)が身近であります。

 

比叡山山頂からの琵琶湖

 

そして、日本酒です。

滋賀県は琵琶湖周辺に実に32蔵の日本酒蔵があります。

※正確には34〜5蔵あるそうですが、組合に所属の数が32蔵。

 

滋賀の酒の特徴としては濃醇旨口系が多いです。

滋賀の方にとっては旨味のある物が日本酒なのです。

サッパリ?辛口?フルーティ??と言った感じでしょう。

サッパリに至っては、ペラペラな味だそう笑。うんうん^_^

旨い日本酒とは、いかに米から旨味を引き出すか!

ではその現場に潜入です!

 

 

いざ!上原酒造の酒造り現場に潜入!

 

上原酒造さん。

  http://furosen.com/kuramoto/

代表銘柄〝不老泉〟。現在左の〝赤心〟は作っていません

 

私も大好きな銘柄〝不老泉〟を醸造する、

滋賀県高島市にある蔵元です。

京都から電車で4〜50分。

最寄り駅から上原酒造まではタクシーで10分ほどです。

 

今回私が訪ねた時期は令和4年12月。

そうです、日本酒蔵は仕込みの真っ只中。

ご迷惑を承知で頼んだ所、その日は奇跡的に大丈夫かも!との事でした。

私がお願いしましたのは、

滋賀でとても頼りにしているお姉さん。

小川酒店の双子姉妹の姉、明美さんです。

 

https://shiga-sake.shopinfo.jp/

 

明美さんは、蔵とも付き合いが深く、情報をたくさん持っていて、とにかく話が面白い。

この明美さんに頼んで、今回の超忙しい時期の蔵見学が実現しました。

しかも明美さんもこの日お店が定休日、との事で一緒に行って下さることに。

1人ぼっちで心細かったので助かる〜!

という事で、駅には着くと明美さんが。

2人でタクシーに乗り込み、10分ほどで上原酒造に到着しました!

 

 

全国たった7蔵でしか行われていない【てんびん搾り】とは!

 

不老泉いっぱい‼︎

 

こちらの蔵の最大の特徴は【天秤絞り】でしょう!

【天秤絞り】とは、大きな木で出来た〝てんびん〟でゆっくり圧力を掛けて搾る仕込み方ですが、

 

こちらが天秤の支柱。ワイヤーの先に重りを付けます。画像がぶれててすみません。

 

搾りに2〜3日は掛かる為、時間は掛かるし、量も絞れないし、場所取るし、でやっている蔵はほぼ無し。

この天秤絞り装置がある蔵は全国でたった7蔵。(日本酒蔵は全国1500〜1600蔵とも言われています)。

しかも7蔵中、仕込みの全量を天秤絞りにしている蔵は1〜2蔵という、なんとも希少な蔵なのです!

時間を掛けて丁寧に搾り、ぎゅーぎゅーまで搾らないお酒は実にクリアで滑らか。

雑味の無い酒になります。

 

手前が木槽(フネ)、奥に見えるのが重りです

 

木槽(キブネ)に醪(モロミ)の入った袋を並べ、天秤の先に重りを付けて圧を掛けて搾るのです。

 

今まさに搾りでたお酒も飲ませて頂きました!感激!

 

最初は無圧でチョロチョロと。

その後天秤で圧をゆっくりかけていきます。

数年前に、亡き齋藤さんから天秤搾りの事を聞いたあの日から

一目見たいと思っていましたので、感無量ございます。

 

そしてこの日はなんと!

13:30から「出麹」との事!

 

出麹前の麹室もチラリと見せて頂けました

 

「出麹」とは、室温40度前後の麹室(こうじむろ)で繁殖した菌の動きを止める為、外に運ぶ(方冷)作業。

この時点で麹はほかほかに完成しています。

 

蔵人が布に包まれた麹を外に運びます

杜氏の横坂さん。オフシーズンは千葉県で米作りしてます

 

なんとも活気ある現場を見せて頂けて感激でした。

仕込み時期ならでは、ですね。

上原酒造もう一つの特徴は、自家精米です。

滋賀県内32蔵の中でも自家精米をしている蔵はほとんど無いそうです。

自家精米の良いところは、精米した後の乾燥具合を調整出来る事。

基本的に精米すると乾燥へ進みますね。

それをわざと長くして乾燥させたり、

直ぐ使ったりと、米や仕込みに合わせて調整するそうです。

 

発酵中のタンク。ふつふつとしてます

しかし、自家精米の大変な所は、

精米って1年間の中でほんの数ヶ月の間に使う時期が集中しますね。

残りの殆どは使わない時期。

その間にネズミちゃんが来てイタズラしたり、

いざ使う!となると動かないなどのトラブルが多くて、メンテナンスがかなり大変だそです。

そしてもう一つメンテナンスが大変と言えば、

木桶です。

 

柿渋を塗った木桶

 

こちらの蔵は木桶を使用してまして、使わない時期の夏場に防虫・防腐しておかないと大変な事になるそう。

暑い時期に真っ黒な柿渋を塗る作業がある訳です。

酒造りのオフシーズンなので人手も足りず汗ダラダラでとにかく大変。

先程の天秤の支柱も塗るんです。

大変な作業ですねえ。

 

上原社長にひと通り蔵を案内して頂いた後は、試飲です。

こちらもひと通り飲ませて頂きました^ ^

初めて飲む不老泉が結構ありましたので、気に入った物は、後ほど小川酒店さんに頼みます。

こうして、蔵を後にしました。 

そして、夜は滋賀のお酒を飲みながら、

美味しいお料理を。

明美さんにお勧め頂いた料理屋さんへ。

 

その前に、前回お邪魔した大津の日本酒蔵・平井商店さんの平井さんにもご挨拶。

前回の平井さんの蔵見学ブログはこちらです↓

 

代表銘柄・浅芽生アサジヲ

 

ご飯は明美さんも一緒に来て下さる事になり、2人で滋賀の夜を堪能です。

 

佳山(かせん)さん。京都の浜作さんご出身の本格京料理

 

明美さんから、滋賀のお話を色々聞きながら、

 

付け合わせの細かい所まで素晴らしい!

 

滋賀のお酒を堪能しながら

美味しいお料理。

 

モチロン不老泉もね。奥にチラっと大将が笑

 

いやー、大満足な1日でした‼︎

上原社長を始め、蔵の方々、そしてアテンドして夜ご飯までお付き合い下さった明美さん。

皆様に感謝感謝でございます。

また直ぐに来たいな〜滋賀♪

  

不老泉の蔵見学を終えて

 

日本酒蔵の見学をさせてもらと

日本酒というのは【手造り】なんだ、

という事を改めて知ることが出来ます。

タイミング、米の感じ、発酵状況を見て進行して行く酒造り。

今回も急遽前日に〝明日の午前が搾りになったから時間ずらして〜〟とか。

 

鮨かのに置いている日本酒が小さい蔵が多いのは、蔵の人達の顔が見えるお酒だからです。

それを好んで入れてます。

お客様にもそれごと味わって頂きたいのです。

この先も小さな酒蔵に積極的に赴き、

その土地の風土を知り、

蔵元や杜氏の考えや人柄に触れ、

それを飲み手に伝えて、それごと味わって頂きたい、そんな活動を細々と続けていきたいと思います。

亡き齋藤さんのスローガン

〝小さな酒蔵応援団〟の意思は

しっかりと受け継ぎます。