【第一回 鮨と熟成酒の会】未体験のペアリング回!大成功のうちに終了しました!
鮨と日本酒 最強ペアリング特別編!提供するのは熟成酒のみ!春の鮨ネタとの夢の共演!
ある日、いつも通りの営業の中で、かなりの日本酒上級者である事が徐々に判明してきたお客さま(Kさん)。
のち、季節毎にご来店頂く様になったKさんに、とっておきの秘蔵酒を次々と提供していった所、とても気に入って頂きました。
そんな事が今回のイベント誕生のキッカケです。
鮨かのとして、熟成酒だけに焦点を当てて構成を練る事は初めてです。
この様な機会は、物事をより深く知れるチャンス!
鮨と日本酒ペアリングの新たな可能性を求めた企画が始動した瞬間です!
もくじ

鮨かの流 熟成酒の定義とは!
長い年月を経て、味わいが円やかになったもの。旨味が増したもの。熟成味がプラスされ味醂の様になったもの。
常温でたくましく熟成されたもの。冷蔵で丁寧に貯蔵され綺麗な味わいに育ったもの。瓶貯蔵。タンク貯蔵。などなど。
熟成酒には様々なタイプが有りますが、鮨と合わせて美味しい熟成酒とは何か。
鮨かのが取り扱うべき熟成酒は、鮨に寄り添う優しい味わいを持つものです。
そして、鮨かのの燗酒師である女将は、アルコール度数が高いものは割水して飲み易くしたり、様々な食材を燗酒に使う特殊な技術を持っています。
また、こだわった日本酒を扱っている日本各地の酒屋との強い信頼関係も強い武器と考えます。
そんな、鮨かのが持つ技術をふんだんに組み込んだ【春の鮨と熟成酒の会】
ついに幕開けです!
第一回熟成酒の会 献立はこちら!
それでは当日の様子を献立と共にご紹介致します!

まずは鮨かのの冷蔵庫で3年間眠っていた事で、味わいが円やかになった大信州(長野県) 純米吟醸スパークリングで乾杯!
寝かせる事で、当初尖っていた味が見事に円やかに。カルピスの様な色合いとシュワシュワ。スッキリとした甘味とまろやかな酸味。とても美味しかったですね!
こちらは青海苔餡掛け茶碗蒸しと新物メカブで軽く合わせました。
鰆の藁焼き➕御前酒(岡山県)菩提酛3年熟成
御前酒といえば「菩提酛」造りと言われる程の菩提酛のスペシャリスト蔵。
「菩提酛」
これは日本最古の酛【酒母】で、〝そやし水〟と言われる乳酸発酵させた水を酛に酒造りをする事です。
「枯れた味わい」とも表現されますが、独特な旨味を持っています。
熟成と菩提酛由来のクセが、藁のスモーク感とベストマッチな組み合わせ。
瀬戸内産牡蠣の酒蒸しと煮アンキモ➕鈴政宗paradise(滋賀県)無濾過生原 3年熟成
こちらは、現在日本酒造りが停止している蔵。その前の3BY(令和3年)の貴重な酒を保存していました。
とても貴重な日本酒です。
生酒ならではの強さを持った鈴政宗は、あん肝の旨みとも見事に調和。旨味の相乗効果が生まれました!
太刀魚炭火焼き➕奥能登の白菊rescued(石川県)1年熟成
2024年元旦に起きた能登半島地震の際、正に造り真っ只中だった輪島のお酒。
地震により、商品のほとんどが割れてしまいましたが,タンク内に残されていた瓶詰前のお酒を仲間の蔵に搬出と上槽してもらい、ほんの少しだけ出荷出来た物です。
原料香を豊かに感じられる奥能登の白菊の味わいと太刀魚の炭火焼きが良く合いました。
蛤のお吸い物➕大典白菊3種ブレンド 昆布燗
鮨かのオリジナルの【昆布燗】。
日本酒を温める時に昆布を少し投入する事で、ダシ燗になります。
その味わいはお吸い物。ホッとする至高の一杯です。
この昆布燗は、他にも昆布〆の白身魚、貝、昆布を食べて育っているウニとも相性バッチリ。
大活躍な一杯です。

合間には、お客様から持ち込まれた凱陣悦・凱陣 平成27年度醸造の常温放置(詳細不明)が登場!
高いアルコール度数(18~19)が鎧となったのか。たくましく見事に熟成!
60℃以上の熱燗が飲み頃になりました。
子持ちヤリイカ印籠詰➕大正の鶴5年熟成
コチラは女将が仕込みの手伝いにも行っている思い入れのある蔵です。
蔵元杜氏の落さんと原さんの2人だけで醸造してます。
蔵元の裏に鍾乳洞がある為、水が硬質です。
その為熟成に向いているのです。
落杜氏の得意な岡山の朝日米(食用米)で醸造&熟成したお酒に甘辛く似た子持ち槍烏賊が良く合います。
本まぐろ赤身➕京の春4年熟成
【京の春】は鮨かのの定番酒。最初から最後までこれ一本で合わせられる綺麗な旨口日本酒です。
安心感のある旨味が京の春がまぐろの美味しさを引き出してくれます。

小肌➕冨鶴TOMITURU【滋賀県)熟成期間不明…
冨鶴は現在滋賀県の酒造組合を脱退しています。
その為、取引先である滋賀の小川酒店では現在取扱がありません。
その組合を抜ける前に、小川さんが実行委員でもある大津の「朝市」用にオリジナルで販売した1本でした(小川さんはいつも、朝市用で販売する滋賀の秘蔵酒を蔵元から見つけ出して、朝市で販売してます)。
既に蔵で熟成されてあった物を、更に小川さんで4年置いてあったのを鮨かのが頂きました。
色合いとしては、熟成色がかなり濃くなってます。
富士酢で締めた小肌の握りは、華やかな酸味と旨味を持っています。
冨鶴の燗はその握りと同じ方向の美味しさを持っているだけではなく、小肌の酸味とは違うリッチな味わいをプラスしてくれるのです。
素晴らしいペアリングでしたね!

穴子➕扶桑鶴4年熟成 山椒燗
鮨かのオリジナル 山椒燗。
これは女将の燗酒の師匠でもある〝酒うらら〟の道前理緒さん指導のもと行った、燗酒特訓の時に生まれた穴子の為の一杯なのです。
作り方は、塩漬けの山椒をすり鉢で潰しチロリに投入。
そして扶桑鶴を入れ燗に。
すると山椒の風味がふわと薫り、穴子の握りを後から追いかけてくれます。
この様な調理燗は今まで聞いた事が無いと思いますが、レシピは沢山あります。お勧めです!
遠野のどぶろく(岩手県) 2年熟成+Kさん宅冷蔵庫放置
そして終盤の隠れアイテム!
今回幹事のKさんより前日着で熟成どぶろくの持込がありました。
「前日に抜栓して味をみてもらって、どこに投入するか決めて下さい」とチャレンジングなメッセージ。
その通りに前日夜に抜栓&試飲をしたところ…
酸が強くやや怪しい方向に行った予感…
しかし翌日改めて試飲してみると、老いた感じが無くなりマイルドに美味しく変身!
まるでヨーグルトの様な味わい!
このどぶろくも水酛(菩提酛)の造りだった為、それ由来の独特な乳酸感があります。
単体で楽しめる酸を持ったオジヤでした!
第一回!春の鮨と熟成酒の会 終了!
こうして約3時間に渡る熟成酒の会は大盛況のウチに終了しました!参加者の皆様!誠に有難う御座いました!
鮨かのとしても、食材と日本酒の味わいを深く掘り下げる事が出来た貴重な体験となりました。
燗つけの際にちょっとした食材をプラスする調理燗の可能性は、更に発展していく事でしょう。
鮨と日本酒ペアリング。
それは知れば知る程面白い組み合わせですね。
さて。この経験を元に、第二回目に向けて更に深い世界へとご案内させて頂きます!