鮨かの定番酒!【ロ万】を作る花泉酒造の仕込み見学へ行って来ました!
自然豊かな福島県南会津。厳冬の中で行う日本酒仕込みを肌で感じる体験記!
令和6年2月下旬。
以前から交流を持つ、福島県南会津町の花泉酒造に日本酒造りの見学をしてきました。
〝ロ万〟と書いて〝ろまん〟と読む。
ロ万は現在では珍しい、もち米を使用した〝四段仕込み〟という日本酒造りによる、独特なサラりとした甘味を持っているのが特徴です。
それでいて、程よい余韻を残しながらキレの良さも持ち合わせています。
冷やでスッキリ飲んでも、温めて香りを立たせても良し。
味わい豊かで万能なロ万は、シャリや魚貝との相性が良いため、鮨かのでは定番的な日本酒なのです。
令和6年の冬は記録的な小雪となりましたが、ここ南会津町は特別豪雪地帯。例年に比べると少ないながら、あちらこちらに雪が積もっておりました。
南会津町にある4つのスキー場も全面滑走可能!
そんな雪深い所で行われる日本酒の仕込みとは、一体どんなものなのか⁉︎
コチラでは花泉酒造酒仕込み突撃体験記をまとめたいと思います!
もくじ
花泉酒造のある南会津町はこんなトコ
今回2度目の訪問となりました花泉酒造は、福島県南会津郡南会津町。自然豊かな山あいに蔵を構えています。
花泉酒造周辺には24時間営業の大手コンビニエンスストアは一軒もない所。信号機も数えるほど。
冬の寒さも手伝って、夜になると人は全く歩いていません。
ローカルコンビニがポツンと光を放っているだけ。(そのローカルコンビニに、フツーにロ万が並んでいる所がまた面白い)
またこの辺り、特に檜枝岐方面は「星」「平野」「橘」という名字ばかりだそう。ご先祖様が繋がっているのでしょうか。色が濃いんですね。
花泉酒造の社長の名前も「星」さんです。
蔵へ向かう道は旧沼田街道とも呼ばれます。
現在は尾瀬国立公園があるので、直接の行き来は出来ませんが、江戸時代は盛んに往来されていたという街道です。
また、蔵のすぐそばを流れる清流、伊南川は尾瀬国立公園の麓、檜枝岐方面から流れています。上流には川沿いの温泉もあります。
この辺りにあるのは自然だけ。とーっても静かな所です。
今回はスノーボードの帰りに社長宅にご挨拶する。という予定でこちらに。
花泉酒造では、基本的に蔵見学は行っていませんが、今回は社長である星氏のご好意により、仕込み見学が実現しました。
当日の朝ごはんで、納豆は食べないで来てね!とクギを刺されるカノ。(納豆菌は強いので、日本酒の発酵に影響を及ぼしてしまう可能性あり)
翌日の日本酒仕込みは朝早くから始まるので、その日は早々に就寝しました。
そして翌日。朝8時過ぎに花泉酒造に到着!
すると、煙突からモクモクと大量の仕込み米を蒸している水蒸気が上がっていました。
それは、遠くから見たら火事かと見間違う程です。
日本酒仕込みの始まり!
到着してすぐ、仕込み米が蒸し上がりました。
蓋を開けると、もの凄い勢いで水蒸気が上がります。と同時に蒸し立てのお米の香りが漂います。
その蒸し上がった大量の仕込み米は、シャモジではなく大きなスコップで取り移されます。
お米が温かいウチに、全ての仕込みを終わらす事はマスト。蔵人たちの見事なチームワークが光る!
この仕込み米を用いて、午前中に〝製麴〟〝酒母造り〟〝醪造り〟という3つの仕込みを行う日でした。
最初の工程として〝製麴 せいきく〟の始まりです!
製麴とは⁉︎
ベルトコンベアに乗せられた蒸し米は、冷ましながらその場で麹菌が振りかけられます。
それを神聖な空気漂う麹室に運び、麹菌が蒸米に入り込むのを待つのです。
花泉酒造内にある精米機によって磨かれた〝五百万石〟という品種のお米を少し試食。
固めな食感と優しい甘味を持つ酒米です。
モチロン初めての経験です。貴重な体験で御座います。
二つ目の工程は〝酒母造り〟です。
酒母造りとは⁉︎
その字の通り〝酒の母〟と呼べる醸造の〝種〟となる物を作ります。
日本酒は、その発酵している酒母に→水と蒸米を足していき→日本酒(絞る前のもろみ)を造り上げます。
先程蒸された五百万石が、どんどん酒母タンクに投入されます(酒母タンクは種を造るので小さ目のタンク)。
この日は酒母タンクに蒸米を投入し、攪拌と温度管理をして終了です。後は発酵の経過をこまめにチェックして管理します。
仕込みタンクが並ぶ部屋には、ほのかなアルコールの香りが漂っています。これは現場じゃなければ体験出来ない事。
所狭しと並ぶタンクには番号が貼られています。
その〝号〟の字を、上部の〝ロ〟下部の〝万〟に分けて〝ロ万〟と名付けられた事は有名な話でも有りますね。
醪造りとは⁉︎
三つめの工程は〝醪造り モロミつくり〟です。
醪を搾ると日本酒、いわゆる清酒になります。〝どぶろく〟を想像すると分かり易いかと思います。
大きなタンクに蒸された仕込み米がドンドン投入されていきます。
そのタンクの攪拌(かき混ぜ)がとても大変。階段を上がった2階部からの作業になるのです。
誤って落ちない様に安全ロープを付け、長い棒を持ち〝醪 もろみ〟を掻き混ぜる〝櫂入れ〟と呼ばれる体力を必要とする作業。
この日はこの工程を30分以上行っていました。
若い職人さんでも「大変な作業です…」と言っておられました。
以上の三つの工程により、朝に蒸された大量な仕込み米は全て使用されました。
一連の作業で、約三時間ほどでしょうか。これは中々なハードワークです。
お昼休憩を挟み、午後は蒸したモチ米をタンクに投入する作業〝もち米四段仕込み〟が行われる。との事でしたが、私達の見学は、ここで終了しました。
仕込み見学を終えて
仕込み現場の室内温度や酒米を蒸す香り。発酵の香りなど、その場でないと感じられない事が盛りだくさんな仕込み見学となりました。
その光景は、今でも鮮明に記憶しています。
その記憶を元に味わうロ万は、それを知らない時とは違うものです。
その魅力を皆様にお伝えする事が、鮨かのの使命なのです!
鮨かので楽しめる〝ロ万〟はコレっ!
雪の降る冬は、白く濁った〝かすみロ万〟
花が咲き誇る春は〝お花見ロ万〟
鳥たちが囀(さえず)る新緑の頃は〝皐ロ万〟
キラキラした陽射しを和らげる〝七ロ万〟
田んぼの稲、山々が黄金色に移りゆく頃は〝十ロ万〟
大地に霜が降りる頃には〝しもふりロ万〟
ロ万は季節ごとに色々なスペックの品が発売されます。
それぞれのロ万の味わいを見極め、冷たくスッキリなのか、温めて味わいを引き出すのか。
それを、どんな食材に合わせるとベストな状態に持っていけるか。
そこに調理人の技として、鮨かのの仕事をプラスさせるのです。
南会津のコダワリがギュッと詰まった銘酒 ロ万
その名の通り、自然豊かな場所で情熱と共に出来上がる、浪漫溢れる日本酒でした。