【令和5年度のカラスミ作り】鮨かのオリジナル!ウィスキー仕込みのカラスミ!
秋の仕込みの大仕事!今年もカラスミ仕込みの季節がやって参りました!
毎年11月頃になると、豊洲市場にカラスミの原材料である〝ボラ子〟が店頭に並び始めます。
カラスミとは、ボラの卵を塩で水抜きして焼酎などに漬けた後、乾燥させた食べ物の事です。
カラスミは日本3大珍味の一つとされています。
上質なボラ子はピカピカしており、綺麗なクリームみたいなオレンジ色。それを見かけると、仕込みたい衝動に駆られます。職人の心をくすぐるんですねぇ。
超高級な晩秋の仕込みの大仕事。
今回は、カラスミの仕入れから仕込み。完成までのレポートを綴りたいと思います!
もくじ
カラスミの原材料 ボラ子の仕入れ
カラスミを仕込む様になって、かれこれ10年くらいになる経験から、原材料は良いものを仕入れる。これが第一だと思っています。
そんな思いから、鮨かのが仕入れた今年(令和5年)のボラ子の値段は1キロあたり、約4万円。
豊洲市場では〝特上ボラ子〟として扱われています。
特上ボラ子には血線が無く、手に持つとシットリしています。それは脂をタップリと蓄えている証拠です。
ボラ子を仕入れる仲卸店舗はココと決まっています。仲買人との信頼関係が作れているので、店頭に並べる事なく、上物が鮨かのに一直線に回ってくるのです。
今年は全部で約10キロの特上ボラ子を仕入れました!
ボラ子が得意な仲買店では早朝、料理人たちが仕込み方について雑談する場所にもなっています。
味噌漬けにする人。日本酒で漬け込む人。焼酎。ブランデー。などなど。
レアに仕上げる人、硬く乾燥させる人、楕円形に整える人、可愛い丸に整える人。職人の数だけ様々な仕込み方があります。
カラスミの仕込み スタート!
カラスミ仕込みの始まりです!
今回豊洲市場で仕入れてきた特上ボラ子には、臭みの素となる〝血線〟が無いので、水で洗う事もなく、塩漬けにしました。
姿が見えなくなる位のお塩で埋め尽くします。これを〝ドブ漬け〟と呼んでいます。
塩漬けはボラ子の水分抜きが1番の目的です。
お塩はドバドバーっと思い切って使います。この時は5キロのお塩を使い切りました!
また、鮨かのでは3日間塩に漬けますが、途中で足りないと判断した時には追い塩もします。
さて。3日間塩漬けにしました。ボラ子から水分が抜けてずいぶん硬くなります。
この後は、軽く水洗いしてから塩分抜きを目的とした作業に移ります。
ボラ子をウィスキーに漬ける!
鮨かのでは、ここ数年はウィスキーを使っています。カラスミの熟成とウィスキーの風味が良く合う事が理由です。
10年位前は山崎や白州を使って仕込んでいたんですけどねぇ…最近は〝サントリー角〟を使っています。
ボラ子全体がウィスキーで隠れるまで思い切って投入します!
ウィスキーに漬けている時は特に何もしません。3日間漬けっぱなしです。卵の力は強いです。放っておきましょう!
カッコ良く整えて乾燥させる!
この先はボラ子ではなく、カラスミと表現します。
ウィスキーに漬ける事3日間。引き上げてみると、丁度良くシットリとしています。
整形と乾燥の始まりです。
鮨かのは、やはり楕円形がカッコ良いと思っています。バットなどで挟んだり、重しを乗せたり。薄皮が破けない様に注意しながら、好きな形に仕上げます。
そして、冷蔵庫の冷気が直接当たる様に配置。1日に数度ひっくり返しながら乾燥を進めます。
そしてその度にウィスキーをペーパーで擦り込ませます。
鮨かのが目指すのは、しっとり食感でマイルドな塩味。程よい熟成で旨味が強いカラスミです。
冷蔵庫干しをする事5日。柔らか過ぎず、硬すぎず。理想とする硬さになりました。密閉パックにて熟成に入ります。
今年度のカラスミ!その味わいやいかに‼︎
2週間後。味見のため一つ開封してみました。
ひと口目の感想は、「塩味が強いなぁ…」でした。まだお客さんに出せるレベルでは無いと判断を下し、簡単にラップに包み保存。
数日後また味見をしてみると、塩味が取れマイルドな美味しさに仕上がっていました。
なるほど…空気に触れた方が早く味にまとまりが出るのかな。カラスミは面白い…
柔らかな塩味と旨味。日本酒のアテにとても良く合うカラスミが今年も出来上がりました!
フレッシュな味わいから熟成の旨味まで。色々な美味しさが楽しめます!
ぜひ鮨かので味わってみて下さい!