新子が今年も始まりました!夏を代表する鮨をお見逃しなく!
爽やかな旨味と柔らか食感!鮨好きが待ち望む新子の握りが鮨かので登場!
新子が豊洲市場で出回り始めたのは、今年(令和5年)は6月末でした。
シーズンスタート時の取引される値段は、ウニやマグロを凌ぐほどの高値(時には1キロあたり10万円以上!)で取引されています。
仕入れ値が、やや落ち着きを見せ始めた7月上旬。鮨かのでも〝おまかせ〟コースにて新子の握りが登場。初期は7〜8枚付けで握りました。
その時の原価は一貫あたり、なんと4000円!こんなに原価の高い握りは、そうありません。
新子の握りの魅力はなんと言っても季節感と、食感の柔らかさかと思います。それは、他の鮨ネタには無い食感です。
小さな新子は、とても柔らかくデリケート。気を付けて扱わなければ傷を付けてしまいます。
それは、漁の時も豊洲市場内も一緒。音に敏感な新子は舟の音が聞こえると、逃げてしまうそうです。
漁師さん。豊洲の仲買さん。仕込む職人。みんなが気を付けて扱う故の値段かと思います。
夏の風物詩。今回は、新子の握りについて掘り下げてみたいと思います!
もくじ
新子とは。
新子とは、小肌の子供の事です。
江戸前を代表する鮨ネタのひとつである小肌は出世魚。大きいものから順に、コノシロ→ナカズミ→コハダ→シンコとなっています。鮨店が扱うのは、大きくてナカズミサイズまでが一般的かと思います。
小肌の漁は漁船からの〝投網漁〟。群れを探知機や目で探し、網を投げ、捕獲する方法です。
小肌は音に敏感なので、近づく際にはエンジンを切り、そっと寄って行くと聞いた事があります。
豊洲市場での主な産地は、静岡県舞阪、熊本県天草、東京湾船橋などです。出回る順番もこんな感じ。
また駿河湾では新子、小肌は見るけど、相模湾では全く見かけない。と聞いております。なぜでしょうか…
江戸前シンコが最盛期の頃は、天草のシンコが育ち、小肌になっている事もよくあります。その食べ比べが出来る時もあります。それは8月後半。楽しみな季節でもあります!
豊洲市場での新子のようす。
豊洲市場では、大体200g毎のパックに選抜されて店頭に並べられています。
仲買さんが冷たーく冷やされた氷水の中で、優良な新子だけ、大きさを揃えて袋詰めしているのです。
「オレが良いのだけ、詰めといたからね。冷たかったなぁ。」と、毎朝グチを聞いてます…
ちなみに令和5年7月末の仕入れ値は、1キロあたり17500円。3枚付けで1貫約600円でした。
初期に比べれば、落ち着きました。それでも立派な高級魚。大切に大切に扱います。
新子の仕込み方。
魚体が小さくても、仕込み方は小肌と同じ。ウロコを取り中骨を外し、塩を振りお酢に潜らせる。
小さく数の多い新子の仕込みは、全ての工程をスピーディーに行わなくてはなりません。
塩を当てる時にのんびりしてしまうと、最初と最後では数分間のタイムラグが生まれてしまい、味のブレに繋がります。お酢に潜らせる時もそう。
新子の身質はとにかく柔らか。切れ味の良い包丁で捌かなければ、身を痛めてしまいます。
そして小さな魚体のため、仕込みにとにかく時間が掛かります。その間に温まってしまわない様にこまめに冷蔵庫に仕舞いながら仕事を進めます。
新子の握りの楽しみかた。
〝おまかせ〟スタイルの鮨店での小肌の握りは、その酸味を生かして脂が強い握りの後に出てくる事が多いかと思います。マグロ、トロの後が一般的ですかね。
ところが、爽やかで優しい新子の握りは違います。登場させる順番が難しくもあり、楽しみな点でもあります。
季節感を大切にしたいので、1番最初でもよい所ですね!
7月末の新子です。綺麗に3枚同じ大きさに揃っていますね。コレは豊洲仲買人による匠の技。数ある新子をキチンと選別しているからこそです。
旨味豊かな鮨かののシャリは、新子同等の美味しさです。正に相乗効果な美味しさが広がります。
今しか食べられない夏の風物詩。大きさ、産地を変えながら8月いっぱいは楽しめると思います。
新子の握りをどうぞお楽しみ下さいませ!