令和4年度11月!カラスミの仕込みが始まりました!

日本三大珍味のひとつ。カラスミの原料である〝ボラ子〟が豊洲市場に出回るのは今!

毎年、晩秋の恒例行事とも言える〝カラスミ〟の仕込みの季節がやってきました!

 

適度な塩味と独特な旨味を持つカラスミは、日本酒のお供にピッタリ。

お正月の定番でもありますね。

 

仕込みには、手間と時間がかかります。

味噌漬けにしたり。日本酒で漬けたり。

柔らかく仕上げたり。硬く仕上げたり。

人それぞれ好みや用途によって仕込み方が違う所も面白い点だと思います。

熟成されたカラスミの味わいは他には無いものですね。

今回は、鮨かのが近年行っている柔らかソフトなカラスミの仕込み方を完全公開させて頂きます!

 

もくじ

 

 

豊洲市場でのボラ子のようす

 

豊洲市場ではカラスミの原材料は、ボラの卵という意味で〝ボラ子〟と呼ばれています。

ボラ子はとても高価なもので、品質が良いものは1キロあたり4万円に迫る金額です。

今年、鮨かのが仕入れたボラ子は、タップリと脂分を含んでおり大きさも類を見ないほど。

仕込み甲斐もありました。

 

〝ボラ子〟は1尾のボラから2本の卵が採れます。

 

柔らかい食感にするのか、それとも

硬く仕上げ塩味も効かせて長期保存するのか。

それに合わせた仕込み方を行っていく。

カラスミの仕込みで大切な点は、着地点を見据えた仕込みだと思います。

鮨かのが、今年1回目の仕込むのは、

おつまみ感覚で食べられる

〝ソフトな食感と塩味〟を持つカラスミです。

 

ボラ子の塩漬け

 

 

塩漬けする前に、血抜き作業をします。

ですが上質なボラ子になるとその作業は、ほぼ必要ないほど綺麗です。

このボラ子も指で取れる血線だけでした。

仕上がった後に薄皮と一緒に血線が取れる事も有るので、あまり気にしませんでした。

 

塩はタップリと、

ボラ子が見えなくなるまで使用します。

この時は、塩5キロ使いました。

 

 

まる1日塩漬け。

が、このボラ子の大きさから、充分な水抜きをするにはまだ足りない。

もう1日塩漬けする事にしました。

塩が足りないと思われる所には追い塩をします。

 

この時、塩を全て入れ変える手法も有るそうですが、鮨かのではそれもしません。

卵の力は強いので、余計なひと手間になってしまう可能性があるのかな。と思っています。

 

 

まる2日塩漬けしました。

指で少し押して水の抜け加減を確認します。

1日目よりも水分が抜け、身がシッカリとしました。

塩味をあまり効かせたくなかったので、今回はこれで塩漬け終了。

流水で塩を流し、水を綺麗に拭き取ります。

 

ボラ子のウィスキー漬け

 

 

今回、鮨かのが使用するウィスキーは〝サントリー角〟

仕上がった時、カラスミにウィスキーの香りとコクがプラスされて美味しさが増します。

ボラ子が隠れるまでドバーッとウィスキーを浸した状態で3日保存しました。

浸ける日数は、ボラ子の大きさから判断します。

 

 

ウィスキー漬けから引き上げた後はスダレなどでボラ子を挟み、上に軽めの重石を載せボラ子の厚みを薄くします。

薄く仕上げた方が品質保持に向いていると思います。中心の水分が抜けやすくなるからです。

また、指で整形してカッコ良い形にする事も大事ですね。

 

ボラ子の乾燥

 

 

天日に当てて干すとボラ子は固くなります。

カラスミの用途によっては、その手法もモチロン良いです。

今回目指す仕上がりは、あくまでも〝ソフトなカラスミ〟なので冷蔵庫干しです。

冷蔵庫の冷風が良く当たる場所に、良く当たる角度で保存。

1日に数回ひっくり返す事も忘れずに。

 

乾燥期間は3日が目安です。

毎日指で押して、乾燥具合をチェック。

3日が過ぎた後は、お好みの硬さで大丈夫かと思います。

 

 

冷蔵庫干ししている間は1日2回ペーパーにウィスキーを含ませて磨く作業をします。

風味を足す事と艶を出す目的です。

カラスミ仕込みで1番楽しい作業かもしれません。

丁寧に磨いていると、愛着まで湧いてきます。

 

カラスミ。そして完成へ

 

 

そろそろかな。と思ったところで、パッキングします。

すぐ食べるならジップロックなどでも大丈夫。

空気を抜いて保存します。

 

寝かせて味を整えてから食べるなら、厳重に保管しましょう。

冷蔵庫内の臭いがカラスミに付きますので、冷蔵庫の空気になるべく触れないように保存しましょう。

鮨かのには密閉機が有るので、ひとつひとつ丁寧にパッキングして保存します。

この状態なら長期保存も出来ます。

ここからさらに寝かせる事で

味が整い旨味が増してきます!

 

まとめ

 

今回の仕込みで、完成まで10日かかりました。

最後のパッキングの状態でも食べられますが、ここから更に熟成させる事で、塩味と旨味が整っていきます。

その変化も楽しいところです。

 

作業行程が多そうに見えますが、

案外する事は少ないです。

出来るだけ良いボラ子を仕入れて、的確に仕込んでいく。

それだけで失敗する事は少ないかと思います。

 

縁起良く〝唐寿美〟とも書かれるカラスミ。

仕込むチャンスは限られています。

チャレンジしてみても面白いですよ!