初夏の小肌は旨味たっぷり!脂がのった選り抜きをこだわりの調味料を使い仕込みあげる!
新子のシーズン前。肉厚な上質小肌をプレミアムな極上米酢で仕上げています!
毎年7月頃になると、「新子はいつからですか?」という質問が増えてきます。
柔らかな食感と爽やかな風味を持つ新子の握りは夏の風物詩。
コレを食べないと夏が始まらない!という方も多いと思います。
ですが、旨味の面から言うと新子よりも親である小肌の方が断然美味しいのです!
産卵のシーズンを目前にした小肌は、身が肉厚で上質な脂を蓄えています。
鮨かのでは、豊洲市場のいわゆる〝上物屋〟さんから選りすぐりの品を厳選して仕入れています。
注文は前日。〝LINE〟での発注。
良い小肌を優先してキープしてもらっています。
〝おまかせ〟コースには必ず組み入れる〝小肌の握り〟
江戸前の技術が集約された、なくてはならない一貫です。
今回はその〝小肌〟について少し掘り下げてみたいと思います。
もくじ
豊洲市場での仕入れ
〝鮨かの〟から車で約30分で着く豊洲市場。
週に3~4回は仕入れに向かいます。
その後には仕込みが待っているので、1時間ほどの間に場内をババっと3~4軒の仕入れ先を回って買出しを済ませます。
早朝の豊洲市場は〝鮨屋〟だらけ。飲食関係の友人、知人も多いです。
意見交換をしたり。
情報を仕入れている場所でもあります。
料理人にとって豊洲市場とは様々な意味合いで大切な所なのです。
選り抜き小肌の仕込み
下処理を施し2枚に卸された小肌は、その後塩じめにします。
目的は、脱水です。
塩味はあまり効かせたくないので短時間だけ。
塩を洗い流す時、常温の水道水は絶対に使いません。
夏場の水道水を使ってしまうと魚が温まってしまいます。
キンキンに冷たくし、浄水器を通した氷水で魚を締める様に洗う。
小さな事ですが、大切なひと手間なのです。
のち、雑味を発生させない為に水分を丁寧にペーパーで取る。
ひとつひとつを的確に進めて行く様に心がけています。
使用する厳選されたお酢!
そして!小肌の仕込みで最も大事なお酢!
〝鮨かの〟では京都丹後で約130年の歴史を持つお酢屋さん。
飯尾醸造の富士酢を使用しています。
こちらは無農薬のお米からお酢を作り上げる、今の時代では珍しくなってしまったお酢屋さんです。
富士酢には、速醸で造られた酸味だけが立ったお酢とは違い、米の旨味をたっぷりと含んだ伝統のお酢本来の風味があります。
飲めるほどマイルドで旨味の強いお酢。程よい酸味とキレの良いお酢。
2種類のお酢をブレンドし、小肌の漬け酢にします。漬ける時間は少しだけ。
お酢でコーティングするイメージに近いかも知れません。
アミノ酸がたっぷりと入った富士酢で仕上げる小肌の1番の特徴は、身質が締まらず、とにかく柔らかく仕上がること。
そして優しく香る酸味です。
1度の酢締めだと、どうしても酢の酸味が立ってしまうので、軽じめ。
それを数日繰り返します。
脂がのっている小肌ほど食べ頃になるまでに日数を必要とします。
バランス良く仕上がるまでに最低4日。
5日目6日目と美味しさを増してゆきます。
お酢で洗っては立てる様に保管。これを数日繰り返して旨味を引き出すのです。
小肌の握りについて
シャリに合わせるお酢もモチロン飯尾醸造のもの。
小肌との相性はこれ以上ありませんね。
小肌の優しく香る酸味と旨味。そして柔らかな食感。
そしてそれを支える旨味を持ったシャリ。
とにかく旨い。ずっと噛み締めていたい鮨となっています。
まとめ
今回特集した、旨味たっぷりの小肌は海の状況にもよりますが、7月いっぱいは続く予想です。
その後はいよいよ新子。
富士酢で仕上げる新子は一体どんな旨味を生み出すのか。
個人的にも楽しみです。
旨い小肌を食べるには、タイミングも大切です。
ここぞ!という所を狙ってみて下さい!