【鮨と日本酒ペアリング】春から初夏を代表する鳥貝の握りとスッキリ旨い熟成酒。京の春を合わせる!

唎酒師の資格を持つ店主 鹿野亮が選ぶ!鮨と日本酒ペアリング第15弾!

心地よい食感と優しい甘味。鳥貝の握りとスッキリ旨い熟成酒。京の春を合わせると⁉︎

 

春。旬を迎える貝をネタとした握りの代表的な存在であるトリ貝。

トリ貝は3月頃になると豊洲市場で見かける事が多くなります。

豊洲市場での主要な産地は、〝鮨かの〟からほど近くの千葉県船橋市や愛知県などから始まります。

5月になると、穏やかで栄養豊かな瀬戸内海から出荷される兵庫県室津産。

そして鳥貝のトップブランドとして知られる京丹後へと移って行きます。

 

↑肉厚な京丹後の鳥貝。超高級品です。

 

軽やかな歯応えとシャリに合う優しい甘味。

旬の鳥貝が食べられるのは年間を通して2ヶ月ほどと短い期間ですが、シーズンに1度は食べておきたい貝類ですね。

 

そんな鳥貝に今回合わせる日本酒は、京都伊根町に蔵を構える向井酒造で造られる〝京の春〟

スッキリとしていながらバランスの良い旨味が残る完成度の高い日本酒になっています。

 

今、旬を迎えているトリ貝の握りと杜氏のこだわりが詰まった京の春を合わせると、どんな相乗効果が生まれるのか。

今回は、この組み合わせについて少し掘り下げてみたいと思います。

 

もくじ

 

鳥貝が持つ栄養素

 

↑豊洲市場ではこの様に並んでいます。

 

鳥貝が持つ栄養素としては、

魚介などから摂取する必要があるビタミンB12

免疫力を高めてくれるパントテン酸

鉄分などが主な有効成分とされています。

食べて美味しいトリ貝から栄養も摂れるのはなんとも嬉しい所ですね!

 

豊洲市場にて仕入れる鳥貝

 

↑豊洲市場にて活きの良い殻付きの鳥貝を仕入れます。

 

私が子供の頃は行徳辺りでも採れていたそうですが、今は流通するほどは採れていないそう。

〝トリ貝〟の名前の由来は、〝鳥のクチバシ〟に似ている。とか、〝味が鳥肉に似ている〟だそうです。

個人的には鳥肉に似ている味とは思いませんが…

 

殻つきの活きの良いトリ貝は豊洲市場で、とても高値で取引されていますが、名だたる鮨店がこぞって扱う大切な季節の食材のひとつなのです。

 

鳥貝の握りについて

 

↑ほのかな甘味。シャリとの相性も良いです。

 

鮨かのでは、コリコリとした食感と旨味を増幅させる目的で少しだけ熱を通します。

そうする事でトリ貝に張りが生まれるのです。

コリコリとした食感と溢れる旨味。

赤酢のシャリとの相性もバツグン。

握りとして完成度の高い一貫かと思います。

 

海に1番近い日本酒蔵で作られる京の春

 

↑海に1番近い酒造。ラベルもシックでカッコ良い。

 

目の前は伊根湾。日本でいちばん海に近い場所で純米酒を造ると言われています。

鮨かのが扱う京の春のスペックは、生酛造り。精米歩合65%の特別純米。

現在(令和4年)は30BYの熟成酒をお出ししています。

酒米は京丹後が発祥とされている〝祝〟。

なんともめでたい名前のお米ですよね。

サラリとした飲み易さ。麹の苦味と爽やかな酸味。程よい余韻とキレの良さ。

4年も熟成された日本酒ですが、老ねた味わいは無く、優しくまろやかな仕上がりになっています。

とても質の高い日本酒だと思います。

 

鳥貝の握りと京の春の熱燗を合わせる!

 

↑京都もトリ貝と京都の日本酒を合わせます。

 

軽やかな歯応えを持つトリ貝の握り。

噛みしめる程にシャリと一体化し、旨味が溢れてきます。

ピリッとワサビの風味もプラスされ、煮切り醤油の塩味にも深みを感じられる事でしょう。

そして、京の春を65度ほどに温められた熱燗で。

温められた事により生まれる、どこか懐かしい様なホッとする香り。

飲み口は柔らかく優しい味わいが広がります。

それはまるで、お吸い物のよう。

トリ貝の握りの旨味をまるごと包み込んで喉もとに流してくれます。

そしてスッと消えるキレの良さ。

これぞペアリングの醍醐味。

素晴らしい組み合わせです。

 

まとめ

 

今回は、京都のトリ貝と京都の日本酒で合わせてみました。

清らかな水を日本酒の仕込み水として使い、その水は海に流れ、その海で魚貝が育つ。

食材の土地同士で合わせるのはとても面白い事ですよね。

 

京の春はとても優れた食中酒です。

秋には〝ひやおろし〟も登場します。

ぜひ鮨かので、京の春をお楽しみ下さいね!