【鮨と日本酒ペアリング】今が旬‼︎大間産本まぐろに華やかな旨味のロ万を合わせる‼︎

唎酒師の資格を持つ店主 鹿野亮が選ぶ‼︎日本酒ペアリング第6弾‼︎

鮨の王者にふさわしい冬の本鮪と冬季限定うすにごりロ万を合わせると⁉︎

鮨かのが豊洲市場にて仕入れている〝大間産本まぐろ〟。仕入れ値はもちろんトップクラス。〝おまかせ〟コースに無くてはならない握りの花形です。

津軽海峡や太平洋沖で獲れるこの本まぐろが最も美味しいのは、10月頃から1月頃まで。1年を通して今(初冬)がもっとも美味しい季節です。

そしてマグロに合わせるのは、うっすらと濁った冬限定〝かすみロ万〟。果実の様な香りと優しい甘味。クイクイ飲んでしまう軽やかさも持ち合わせています。

旬を迎えている旨味あふれる本マグロとかすみロ万を合わせるとどんな相乗効果が生まれるのか。今回はこの組み合わせについて少し掘り下げてみたいと思います。

もくじ

今が旬。青森県大間産本鮪とは⁉︎

↑腹側の部位を主に仕入れております。これで4キロほどの重さ。

豊洲市場まぐろ専門店にて仕入れる1本200キロを超える物も多くある〝大間産 本マグロ〟。鮨かのでは4キロほどの大きさに切り分けた〝腹中〟という部位のマグロを仕入れます。

画像上の方が〝赤身〟。画像左下の方が〝中トロ〟。右が〝大トロ〟。写真からも張りがある事が分かりますかね。存在感が有ります。

マグロ屋さんというのは独特で、他の豊洲仲買店と違うのはマグロだけを扱っている〝マグロ屋〟であるという事です。また、1本のマグロを何軒もの料理屋さんで分けるというのも独特ですね。

鮨かのが使うマグロは、ミシュランの星付き店も扱うものと同じ魚体を頂いています。その采配はベテランの番頭さんの仕事。こちらの希望や店の客単価などから上手く采配してくれています。

豊洲市場に行くと必ずマグロ屋さんに出向き、入荷状況を伺い、なるべく良い所を選んでもらっています。

赤身の握りについて。

↑ツルッとネットリとした舌ざわりの赤身。

マグロ特有の爽やかな香りと酸味。そして旨味。上質な赤身はシットリとしております。

ワサビと赤酢のシャリとの相性も良く噛み締めるほどに美味しさが増していきます。

冷蔵庫から出してすぐでは冷た過ぎるので、少し置いて温度を上げる。握り手はマグロの温度にも気を配っております。鮨ネタはつめた過ぎると味が閉じこもってしまいますからね。

トロの握りについて。

↑きめ細やかな中トロ。

旨味の強い〝中トロ〟。この時期のマグロは餌となる肝がタップリと入ったスルメイカや脂たっぷりのイワシやサバなどを食べている為、独特な旨味があります。

夏のさっぱりとした脂とはまた違う濃厚な旨味。これが冬の近海マグロです。

マグロの力が凄いので、ワサビは少し強め、シャリは大きめが理想なバランスの握りです。白と赤のコントラストが美しい安定の美味しさが有ります‼︎

かすみロ万とは⁉︎

↑漢字の〝号〟という文字を読み間違えて〝ロ万〟と名付けられたとか。

福島県南会津に蔵を構える【花泉酒造】さんが造る〝ロ万〟。原料米、酵母、水。そして蔵人。地元にこだわる日本酒です。

今回の〝かすみロ万〟以外にも、10月頃に登場する〝しもふりロ万〟。お花見の時期に〝花見ロ万〟。新緑の季節には〝さなぶりロ万〟。こんな季節商品も手掛けられている鮨かのとしても楽しみな日本酒蔵であります。

スペックは、精米歩合55%。アルコール分17度。純米吟醸 生 原酒。そしてもち米をしている点も特徴的だと思います。

この〝かすみロ万〟は冬限定出荷品です。フルーティーな香りと軽やかな甘味。少しの炭酸感が生きている酵母の証です。

本まぐろとかすみロ万を合わせる‼︎

先ずは〝赤身〟の握りから。酸味と爽やかな旨味と香り。赤身ながらに力強さを感じます。

そこに45℃ほどに温めた〝かすみロ万〟を合わせると赤身の握りを包み込む様に喉もとに流してくれたあとにロ万の余韻が広がる。

そして次の握りは〝中トロ〟。コース中のひとつの山場ですね。

中トロの力強い旨味の握りと、優しく華やかな旨味のお燗されたロ万の組み合わせが見事に合わさり、握りの旨さが増し、日本酒の旨さも増す。互いの旨さを増幅してくれるのです。

南会津の山の中の日本酒がここまでマグロに合うとは…

まとめ

今回、このブログを書くに当たって、豊洲市場にて色々なお話をお伺いしてきました。皆様有難う御座いました。

また、マグロに色々な日本酒を合わせてみました。そして、現在の鮨かのの在庫の中では、〝かすみロ万〟がドンピシャ。うすにごりを燗にして合わせる。という面白い発見も有りました。

他にも意外な組み合わせが発見されたり。日本酒ペアリングの奥は深いです。マグロの奥深さも改めて知れた気がします。

次回は、本マグロも食べているであろう、北海道で漁れる〝もどり鰯〟について掘り下げてみたいと思います‼︎