【鮨と日本酒ペアリング】カンヌキと呼ばれる極上サヨリと鮨かの定番の和田龍登水の燗を合わせる‼︎

唎酒師の資格を持つ店主 鹿野亮が選ぶ‼︎日本酒ペアリング第四弾‼︎

独特の旨味を持つサヨリと優しい味わいの日本酒を合わせると⁉︎

秋から冬にかけて旨味がのり、旬を迎えるサヨリ。漢字で書くと〝細魚〟。その名の通り細長い体をしております。銀色に輝くサヨリは、心地よい歯ごたえと上品な旨味を持ち合わせている江戸前鮨の代表的な1貫です。

そんなサヨリに合わせる日本酒は、鮨かのでは定番の〝和田龍登水〟。特筆すべき所は飲みやすさのバランスが素晴らしく優しい味わい。鮨かのでも評判の日本酒です。

今回は淡白ながらに独特の旨味を持つサヨリと和田龍登水を合わせると、いったいどんな相乗効果が生まれるのか。少し掘り下げてみたいと思います。

もくじ

カンヌキと呼ばれる大型のサヨリ

↑カンヌキと呼ばれる大型のサヨリです。

豊洲市場にて鮨かのが仕入れるサヨリは、別名〝カンヌキ〟とも呼ばれる大型のもの。仕入れ値は1キロあたり1万円近くする超高級魚のひとつ。

サヨリの身は透き通っています。水面近くに居る為、太陽光から内臓を守る必要が有り、サヨリの腹を開くと内臓の膜は真っ黒。〝サヨリみたいな人〟というのは〝腹黒い人〟という意味もあるとかないとか…

産地は千葉県富津あたりがメイン。豊洲市場で見かけるとつい仕込みたくなる魚種です。

↑背中の厚みで良し悪しの選別をします。

カンヌキサイズのサヨリは、背中が厚く張りが有ります。横から見ると四角形な魚体。

サヨリは酢じめにする仕込みも有りますが、鮨かのでは、美しい色合いと食感を大切にしたい理由で昆布じめにします。

繊細な魚体なので、昆布に当てる時間は40分だけ。これ以上長いと昆布の旨味が強すぎてしまいます。

細魚の握りについて。

↑見た目にも美しいサヨリ。輝いてます。

サクサクとした歯ごたえと深い旨味を持つサヨリは赤酢のシャリとの相性も良く、噛むほどに旨味が広がっていきます。鮨としての完成度が素晴らしい。

〝おまかせ〟コース序盤にお出しする1貫としてふさわしいかと思います。シーズンに一度は召し上がって頂きたいですね。

和田龍登水とは。

長野県上田市に蔵を構える和田龍登水。何度も蔵にも訪問させて頂いている、鮨かのエース的存在の日本酒です。今回は長野県産米の〝ひとごこち〟バージョン。

スペックは精米歩合59%。純米生酒。原酒でありながらアルコール15度という原酒としては〝低アル〟。飲み易さと旨味のバランスが素晴らしい1本です。

細魚の握りと和田龍登水を合わせる。

↑寒い冬にはお燗酒が合いますよね。

昆布じめによる少しの脱水と旨味をプラスされた弾力のある細魚と赤酢のシャリ。細魚の旨味とシャリの旨味が合わさり口の中に広がります。

そこに、和田龍登水を42~45度ほどのお燗で。温める事で角が取れまろやかな味わいでホッコリとしますね。

人肌に温かいシャリと程よいお燗。合わないはずがありません。

また、温めた日本酒は冷めた状態、〝燗冷まし〟になってもまろやかで美味しい状態になっています。急いで飲む必要も有りません。

細魚の握りの旨味を全て包む様に流し、程よい余韻を残してくれます。

この醍醐味をぜひ味わって頂きたいと思います‼︎

まとめ

繊細ながらに深い旨味を持つ秋のサヨリと和田龍登水。ペアリングすると、ほんの少しお酒が強い印象でした。サヨリが繊細過ぎるのか?原酒を合わせたからか…?ドンピシャに合わせるのはなかなか難しいですね。

味の方向性は合致していたので今回のペアリングは80点という所でしょうか。また、今まで冷や酒の定番的に出していた物を燗にして試してみた事で、新たな旨味の発見もありました。

100点とはいきませんでしたが、そこを探るのがペアリングの楽しみでも有りますからね‼︎

また次回も楽しみながらペアリングしてみたいと思います‼︎