令和3年度 夏の風物詩 新子の握りが豊洲から鮨かのに登場‼︎
柔らかな食感と爽やかな風味。夏を代表する鮨。新子の季節がやってくる!
令和3年度。今年も新子の季節がやって来ました‼︎
7月初旬頃から豊洲市場で新子は見かける様になってはいましたが、あまりの高値(12万円/kg‼︎)とその小ささ(一貫あたり10枚ヅケ‼︎)からしばらく仕入れを見送っていました。
100gあたり12000円という事は、1貫にすると原価4000円とか⁉︎凄いですね…
鮨かのが今年度初めて仕入れたのは7月第3週目。そろそろ頃合いかと思い、仕込んでみました‼︎
もくじ
小肌の子供。新子について。
鮨職人って季節の初物食材を見かけるとワクワクしてきゃうものなんです。
〝新子→小肌→ナカズミ→コノシロ〟と呼び名が変化する出世魚ですが、鮨屋が使うのは一般的には小肌までですかね。
【新子】
小肌の子供である新子は初夏の代表的な鮨ネタのひとつ。柔らかい食感と爽やかな酸味。そしてほのかな旨味。
鮨かのではシーズンの初めは7枚ヅケサイズを使う事も有ります。
新子が本当に美味しいのは少し大きめの4枚ヅケサイズからとも思いますが、小さい新子にはそれならではのフレッシュ感などの美味しさも有るかと思います。
ちなみに豊洲市場での新子の産地は〝江戸前 船橋〟〝静岡県 舞坂〟〝佐賀県 有明湾〟などです。
豊洲市場での新子のようす。
鮨かのが主に好んで仕入れる新子は長崎県との県境近く。佐賀県有明産。
日本一の小肌の名産地です。
適度な柔らかさと身の張りがある有明の新子は豊洲市場でも人気の鮨ネタの産地ですね。
身の柔らかい魚(小肌や鰯、秋刀魚など)は少しの衝撃で簡単に傷ついてしまうので、塩水をクッション代わりにし袋詰めしてます。
豊洲市場の仲買さんの惚れ惚れする職人仕事‼︎新子が夏の気温で傷んでしまう前に素早い動きで選別を行います。
小さくてデリケートな魚ですからね。
鮨屋だけではなく、それを扱う漁師さん。豊洲の仲買さん。みんなの力が合わさっている。という事ですね。
手のかかる新子の仕込み。
新子は身が柔らかいので、使用する出刃包丁も良く切れる様に都度研いでおきます。
綺麗に仕込まれております‼︎
新子の塩じめ作業。細かい作業ですが、丁寧に素早く並べます‼︎
夏場なので魚が温まらない様に室温にも気を配ります‼︎
きめ細やかな締めもの専用の、精製塩ではないお塩を振ります。
新子に入っていく塩味。
コレは大切なひと手間ですよね。
栄養分が含まれた天日塩を使います。
並べる最初と最後の時間差がない様とにかく素早く‼︎かつ丁寧に‼︎
この時期の水道水は温か過ぎます。氷水を作り、新子を氷じめする様に、お塩を洗い流す。
この小さなひと手間が美味しさに繋がるのです‼︎
温かい水を使ってしまうと旨味まで逃げてしまいますからね‼︎
小さくても水分取りはキチンと丁寧に‼︎
ここを怠るとボヤけた味になってしまいます!
旨味を閉じ込めるイメージを持ちながら作業をします‼︎
新子の酢じめ。鮨かのでは、2回から3回に分けてお酢に漬けます。サッと酢洗いし、落ち着かせて提供日に再度酢洗い。
こうする事によって旨味と酸味のバランスが取れるのです。
ザルに立てる様に保管する事で、余分な水分を逃します。
豊洲市場の仲買の親父さんにいつも言われてます。「締めものは寝かせてからが旨いんだ」と。
新子も短いですが、熟成が必要なのです。
新子に塩味と酢の酸味。
コレが複雑に絡み合って旨味となるのです。
新子の握りの美味しさ!
新子4枚づけ。(令和3年 8月撮影)爽やかな酸味と旨味。ピリッと山葵。
そして新子を支える旨味たっぷりのシャリ。
全てが合わさり、完成する一貫です。
夏の風物詩である新子。
鮨職人にとっても思い入れの強い握りで御座います‼︎
まとめ
今年の新子は、7月に始まり9月上旬まで豊洲市場には入荷していました。
初期は7枚ヅケ。後期は2枚ヅケ。
産地は佐賀県産が8割を占めていたかも知れません。
シーズンを通して良い状況でしたね。
爽やかな夏の1貫。
また来年の夏にシンコはやって来ます‼︎