【鮨と日本酒ペアリング】旨味溢れる縞海老の握りと辛口熟成酒 ひこ孫を合わせる!
唎酒師の資格を持つ店主 鹿野亮が選ぶ!鮨と日本酒ペアリング第16弾!
豊かな旨味とプリプリ食感!縞海老の握りと熟成食中酒!ひこ孫を合わせると⁉︎
豊洲市場で出回っている縞海老は、鮮度抜群!
プリプリした身質と爽やかな旨味を持っています。
その味わいは飯尾醸造のお酢で仕上げられた、鮨かのの旨口シャリとの相性もバッチリ。
火を入れた車海老とは、また違う海老の美味しさです。
エビやイカなどの甲殻類が好きな人にとって、堪らない1貫となるでしょう。
そんな縞海老に今回合わせる日本酒は、埼玉県蓮田市に蔵を構える新亀酒造にて醸される〝ひこ孫〟
新亀酒造は熟成食中酒を得意とする、一本筋が通った様な硬派なイメージを持たれる蔵です。
旨味豊かな縞海老の握りと、シブい旨味のひこ孫を合わせると、どんな相乗効果が生まれるのか。
今回は、このペアリングについて掘り下げてみたいと思います!
もくじ
豊洲市場での縞海老のようす。
鮨かのでは、豊洲市場内の海老専門店にて縞海老を仕入れています。
時には、仕入れ値が1キロあたり1万円をゆうに超える高級海老です。
北海道 増毛町や羽幌町。野付半島や根室市などが主な産地となっています。
空輸便にて鮮度の良いうちに豊洲市場に到着するので、仕入れの段階ではまだ活きている海老もいます。
鮨かのでは前もって必要数を発注し、店頭に並ぶ前に、より良い縞海老を選り抜いてもらっています。
縞海老の握りについて。
鮨かのでは、〝昆布じめ〟という手法を用いて鮨ネタに仕上げます。
昆布を当て、水分を抜き旨味を足す。江戸前の技法です。
昆布じめにする事でエビとシャリとの、より強い一体感が生まれるのです。
ひこ孫を醸す新亀酒造はこんな蔵。
〝ひこ孫〟とは〝曽孫 ひまご〟の意味です。
これは3年以上熟成されたお酒に当てられる銘柄です。
このひこ孫は埼玉県蓮田市にある〝新亀酒造〟にて生産されています。
この新亀酒造のキャッチコピーは『一升の酒 一生飲んで頂ける酒を、一生懸命提供する』
創業は江戸時代末期。
昭和62年には、仕込むお酒の全てを純米酒にした、戦後初の全量純米蔵になりました。
スペックとしては、原料米 山田錦100%。精米歩合 55%となっています。
穏やかな原料香と、熟成によるまろやかな口当たり。酸のあるキレの良い後味。
常温から燗の温度帯が似合う辛口純米酒です。
縞海老の握りとひこ孫を合わせる!
昆布じめにされた縞海老は、ねっとりとした食感と濃く力強いエビの旨味を持っています。
その縞海老と鮨かのの旨口シャリとの相性は抜群。
ピリッとワサビも一体となって口の中に広がります。
そしてひこ孫は50度まで一度温度を上げ、45度ほどに下げた〝燗冷まし〟と呼ばれる状態で合わせます。
こうする事で、冷やの状態では閉じていた香りが開き、口当たりが柔らかくなるのです。
ほのかに温かいシャリで握られた縞海老。
同じくほのかに温められたひこ孫は口当たり柔らか。
見事に一体化して喉もとを過ぎて行き、ひこ孫のキレのある余韻でスパッと切れる。
お互いが美味しさを増してくれる。旨味の相乗効果です。
握りの美味しさもさる事ながら、熟成食中酒ひこ孫。素晴らしいですね。
まとめ。
今回は日本酒を〝燗冷まし〟の状態で合わせてみました。
燗をする事で、一度開いた香りと柔らかな口当たりは冷めても閉じる事はありません。
冷めてゆく行程を楽しめます。
また、お燗酒を楽しむ時はお猪口の選択も大事です。
適度にアルコール臭を逃す様に飲み口が開いたものを選択しましょう。
今回特集したひこ孫は、鮨かの定番酒です。
日本酒はお食事と合わせる事で、更に美味しくなりますね!