【真妻品種の本ワサビといらか品種の本ワサビ】鮨かのはその特徴を生かし、2種類の本山葵を使い分けます!
食材の旨味を引き立たせる爽やかな辛味〝いらかワサビ〟。日本一との呼び名高い〝真妻ワサビ〟。それぞれの魅力はココにある!
煮切り醤油やお酢。海苔やシャリ。鮨屋にとって必須なものの一つであるワサビ。
漢字では〝山葵〟と書きますね。
〝鮨かの〟では、この本ワサビは、豊洲市場で仕入れる御殿場産〝真妻〟品種の本ワサビ。
そして、伊豆の山葵農家さんより直接仕入れる〝いらか〟品種の本ワサビ。
この2つのワサビを食材によって使い分けています。
なぜ、2つのワサビを使い分けるのかと言うと、ワサビが持つ個性が全く違うから。なのです。
今回はそんな、鮨になくてはならない〝本わさび〟について少し掘り下げてみたいと思います。
もくじ
本わさびに含まれる栄養素
日本固有種の本わさび。
抗菌、解毒、血栓予防。食欲増進などの食物作用があります。そして、ワサビに含まれる栄養素としては、
・カリウム ・カルシウム ・ビタミンB1などが豊富。
カリウムは、ナトリウム(塩分)を体の外に排出させる作用があるので、お鮨に向いてますね。
ビタミンB1はシャリに含まられる糖質を多く摂る時に必要な栄養素。こちらもお鮨に向いてます。
栄養面から見ても実に理にかなった食材だと思います。
伊豆筏場で育てられる〝いらか品種〟の本わさび
まずは、伊豆筏場という所で江戸時代から続く〝わさび田〟で栽培される〝いらかワサビ〟。
〝いかだば〟という場所で育てられる本ワサビです。
わさび田である棚田には、トンボやカニ。ホタルなども住んでいる自然豊かな場所。
〝静岡県の棚田10選〟にも選出。
清らかな川が流れ、木々が山葵を守るように日影を作る。日本の原風景が広がる。
〝世界農業遺産〟にも認定されている栽培方法なんだそうです。
この〝いらか〟の特徴は、食材の味を引き立たせる辛味。
爽やかな辛味を持っている点です。
いらかワサビを使う握りたち
スミイカの握りには、いらか品種のワサビが良くあいます。
主張する事なく、スミイカの甘味と赤酢のシャリを裏から優しく支える様です。
握りにいらかワサビを使った場合は、赤酢のシャリより前面に出て来る事はありません。
ワサビが主張し過ぎる事なく、素材の旨味を引き立たててくれる。
辛味による〝輪郭〟で鮨をまとめてくれる。
そんな名脇役をこなしてくれる本わさびなのです。
日本一との呼び名高い御殿場産真妻ワサビ
そして、豊洲青果市場にて仕入れてくる〝真妻〟品種の本ワサビ。
1キロあたり2万円を超える超高級ワサビです。
〝いらか〟と比べても濃い色。見た目にも力強さが伝わってきますね。
栽培期間が2~3年と、とても長いそうです。
それ故の仕入れ値ですね。
真妻ワサビを使う握りたち
真妻ワサビがもっとも合う鮨ネタがマグロかと思います。
マグロが持つ酸味と旨味。そして赤酢のシャリ。
そこに真妻ワサビが持つ〝木〟の様な風味がプラスされます。
食べ進めた頃に現れる辛味により、全ての味わいの輪郭を整える。
これほど握りに合う食材は他にはありませんね。
酒蒸しされた車海老。強い旨味と甘味を持ちます。
程よい弾力のある車海老と赤酢のシャリの相性はバツグン。
いつまでも噛んで味わっていたい一貫ですね。
そんな車海老にも真妻ワサビの風味が良く合います。
そして。大人の干瓢巻き!
甘めのカンピョウにピリッと真妻ワサビを合わせます!
ワサビの美味しさを感じられる事かと思います。
まとめ
氷河期に大陸から上陸。
その後日本列島に取り残され、寒さと綺麗な水を求めて山の奥地へと旅をして日本だけに生息する〝日本固有種〟となった〝本山葵〟。
江戸幕府が作られる頃、美食家の徳川家康公に献上する為に、伊豆での栽培が始められた。
そしてその頃、江戸前鮨が確立され始めた。
そう古くない時代の出来事ですね。
本山葵はとても高価な品ですが、鮨には無くてはならない大切なものです。
その品質にもモチロンこだわります!